花窈堂

『邦楽アレンジシリーズ』の歌詞文語アレンジの人:萬月邸の作詞担当・芙雪(綾部ふゆ)のブログです。

スポンサーサイト

Posted by 芙雪(綾部ふゆ) on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『和楽・千本櫻』歌詞掲載と解説|文語調歌詞担当:綾部ふゆ

Posted by 芙雪(綾部ふゆ) on   0 trackback

 



この度、4月25日にavexさんより発売されますVOCALOID和風曲コンピレーションアルバム「花楽里漫葉集 feat.初音ミク」収録曲、『和楽・千本櫻』の歌詞を担当させて頂きました。
まずは歌詞の文語訳を快諾して下さいました黒うさP様に、御礼申し上げます。

こちらも「それっぽく歌ってみました- Bad Apple!!-傷林果」の時と同様に、
原曲のイメージを残しつつ文語調に訳しました。
今回は、原曲がハイカラ・レトロモダンなイメージでしたので、
歌詞も明治~大正期の詩歌のような雰囲気を意識しました。
曲の持つ疾走感やリズムなどを重視する必要があることから、
敢えて漢字を多く使用したりしています。

以下、長くなりますが、販売元さん・統括の藤山さんからOKを頂きましたので、
歌詞を全文掲載し、歌詞を直訳に近い形で訳したものと超訳を載せ、
更に、どのような意図で訳したのかという解説を書いていきたいと思います。


原曲をご存知の方は、以下の歌詞をお読み頂いたら、
原曲と意味が同じだと気付かれると思います^^
ですが、綾部なりの言葉遊びも入れているので、そこも楽しんで頂けたら嬉しいです。
では、以下をご覧ください。
(結構長くなるよ!ジュースとかお菓子の用意をオススメするよ!)




「花楽里漫葉集 feat.初音ミク」収録曲
『和楽・千本櫻』歌詞全文



おそれも知らずにハイカラ革命
きはめて(きわめて)磊落(らいらく) 反戦国家
日の丸じるしの自在車まろがし
物の怪調伏(ちょうぶく) 逢ひし弥ゑむ(あいしびえむ)

環状の線(かんじょうのせん)走り出でて(いでて) 南船北馬(なんせんほくば)なんのその
ますらを(ますらお) をとめご(おとめご) 花開く 浮世の随に(まにまに)

千本櫻 小夜ニ入リテ(いりて) 君ノ声モ届カザリキ
此処は宴 刃金(はがね)の織(おり) その断頭台で見下ろせよ

三千世界 常世之闇(とこよのやみ) 嘆キノ唄聞コエザリキ
青藍の空 遥けきかな その光線銃にて打ち抜いて

煙管の雨降るいなせな将校
行きつ戻りつ(ゆきつもどりつ)の花魁道中
彼方(あなた)も御許(おもと)も諸人(もろひと)寄り合へ(よりあえ)
三味線(さみせん) 邦楽 人・含・道・善(ひふみよ)
  
禅定の門 潜り抜けて 極楽浄土 厄はらひ(やくはらい) 
定めて仕舞ひ(しまい)は大団円 拍手の合間に

千本櫻 小夜ニ入リテ(いりて) 君ノ声モ届カザリキ
此処は宴 刃金(はがね)の織(おり) その断頭台で見下ろせよ

三千世界 常世之闇(とこよのやみ) 嘆キノ唄聞コエザリキ
曙光(しょこう)の丘 遥けきかな その閃光弾をば打ち上げよ

環状の線(かんじょうのせん)走り出でて(いでて) 南船北馬(なんせんほくば)なんのその
ますらを(ますらお) をとめご(おとめご) 花開く 浮世の随に(まにまに)

千本櫻 小夜ニ入リテ(いりて) 君ノ声モ届カザリキ
此処は宴 刃金(はがね)の織(おり) その断頭台より舞ひ降りて(まいおりて)

千本櫻 小夜ニ入リテ 君が歌ひ(うたい)われ踊らむ(おどらん)
此処は宴 刃金(はがね)の織(おり) サア光線銃をば撃ちまくれ




【『和楽・千本櫻』直訳に近い訳】

おそれも知らないでハイカラ革命
非常に度量が広く、小事にこだわらない 反戦国家
日の丸印が入った自転車を運転して
人にとりついて祟りをする死霊・生き霊・妖怪の類を祈祷によって下す
対面した菩薩・如来が微笑む

環状線を走り出して 各地を忙しく旅することもなんのことはない
立派な、勇気のある男と、若々しい女の美しさや誉れが開花する
つらいことの多い世の中の流れの中で

千本桜 夜になって 君の声も届かなかった
ここは宴 鋼鉄の織物(檻) その断頭台で見下ろせよ

仏教の世界観による広大無辺の世界 死者の行く永遠の世界の闇
嘆きの唄も聞こえなかった
青藍色の空は遥か彼方だなあ その光線銃で打ち抜いて


吸い付けたばこを何人もの遊女から差し出される、粋で洒脱な将校
郭の中を行ったり来たりしている花魁道中
あなた様も、そちらの方も皆で集まって顔を合わせよ
三味線 邦楽 ひふみよ

禅定に至る門を潜り抜けて 極楽浄土 厄払い
必ず最後はめでたく収まる 拍手の合間に

千本桜 夜になって 君の声も届かなかった
ここは宴 鋼鉄の織物(檻) その断頭台で見下ろせよ

仏教の世界観による広大無辺の世界 死者の行く永遠の世界の闇
嘆きの唄も聞こえなかった
物事の前途に見える明るい兆しの丘は遙か彼方だなあ その閃光弾を打ち上げろ

環状線を走り出して 各地を忙しく旅することもなんのことはない
立派な、勇気のある男と、若々しい女の美しさや誉れが開花する
つらいことの多い世の中の流れの中で

千本桜 夜になって 君の声も届かなかった
ここは宴 鋼鉄の織物(檻) その断頭台から舞い降りて

千本桜 夜になって 君が歌い、私が踊ろう
ここは宴 鋼鉄の織物(檻) さあ光線銃を撃ちまくれ




【歌詞の内容についての解説】

自在車
「自転車」という呼称が定着するまでに使用されていた呼称のひとつで、
明治初期の錦絵などに書かれています。自在に操れる車。カワイイです。

物の怪調伏:
「悪霊退散」より「調伏」の方が法力で捩じ伏せている感じがするので、
パワフルな邦楽バージョンに合うかなと思い選びました。

逢ひし弥ゑむ
言わずもがな!「ICBM」の音を借りた言葉遊びです。
造語なのですが「弥」という漢字が「端から端まで及ぶ」という意味の他、
「梵語の音訳字。『弥勒(みろく)/沙弥(しゃみ)・阿弥陀(あみだ)・須弥山(しゅみせん)』を表す」という意味があるようで(前者の場合はビ、後者はミと読ませるようですが…)それを取り入れてみました。
イイトコドリということで、「逢った菩薩/如来が笑む」という意味で解釈して頂けると嬉しいです。
「弥」の「端から端まで及ぶ」という意味が「ICBM」にも掛かるかしら、という思いもありました。

環状の線:
「環状線」は、都市部で交通網が発達した新しい時代に生まれた言葉のようで、
相応の古語がなかなかありませんでした。
このフレーズもリズム重視とのことで、元の言葉を活かして古語風に助詞「の」を入れました。

南船北馬:
「南船北馬」は「東奔西走」の類義語です。
意味は「《中国の南方は川や湖が多いので船を用い、北方には平原や山野が多いので馬に乗るというところから》絶えず旅していること。各地をせわしく旅すること。」ということです。
大陸からの言葉を、自分達なりにアレンジして日本的な文学に昇華させていった奈良時代や平安時代などの人々の手法に倣って、敢えて取り入れました。
牧歌的でありながら、勢いのある良い言葉だと感じています。

なんのその:
「なんのその」は、現代とほぼ同じ意味で近松門左衛門が使用しているようなので、活かしました。

ますらを をとめご 花開く 浮世の隨に:
「ますらを」は「りっぱな男。勇気のある強い男」の意味で、古来から使用されています。全体の意味を考えた時によく合うと思い採用しました。
「をとめご」については、原曲にある「少年少女」のように対義語をもってくるのが良いとは思いましたが、
「ますらお」の対義語は「たおやめ(手弱女※元々、なよなよとしたしなやかな女の意味で、女性を弱いものとしていう語」なので、なんとなく違うなあと…。
原曲の「少年少女戦国無双」の「戦国無双」は「少年少女」どちらも持っている(潜在的・顕在的な)力の比喩かな?と思いましたので、
「おとめ」と同じ意味を持つ「おとめご」にしました。
「花開く」は、「花」という単語に「美しさ・功名・誉れ」の意味を込めました。
「隨に」は「他人の意志や事態の成り行きに任せて行動するさま/ある事柄が、他の事柄の進行とともに行われるさま」と二通りの意味があるようなのですが、本家様の意味的には、前者と後者を足した感じなのかなと思い、
敢えてそのような流れにしてあります。


千本櫻 小夜ニ入リテ 君ノ声モ届カザリキ:
今回は「邦楽アレンジしました!」という思いを題名からも感じて頂ければと思い、曲の中でもとっても重要な「桜」という文字のみを「櫻」表記にしました。
こちらは統括の藤山さんの案によるもので、綾部も非常に気に入っています。
「小夜ニ入リテ」は、「夜ニ紛レ」を「夜になって」と解釈し、訳したものです。
「届カザリキ」は、直接体験の過去を表す助動詞「キ」を使用しています。
原曲のサビが、恋愛もののような、ドラマチックな歌詞なので、
直接体験の助動詞を使用しました。

刃金の織 その断頭台で見下ろせよ:
「刃金」は「刀剣の刃にする鉄。また、刀剣」を示す言葉だそうで、意味は「鋼」のままです。
「織」は、上記の「逢ひし弥ゑむ」と同様、「音を重視する技」です!
「織物」の「織」という字から、雁字搦めなカンジを読み取って頂ければと思います。
次に、原曲にもあります「断頭台」という言葉ですが、
雅やかな世界の言葉とはかけ離れた言葉を敢えて残したのは、冒頭にも書いた通り、この原曲のイメージがハイカラ・レトロモダンなものだったからです。
この歌詞に乗る音楽は邦楽ですが、近代的な言葉を残すことで伝わるものもあるのではないか、そんな風に考えました。
以下に登場する「光線銃」と「閃光弾」も、上記の理由でわざと残しています。


煙管の雨降るいなせな将校:
「煙管の雨降る」とは、歌舞伎の有名な演目「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」の命台詞「煙管の雨が降るようだ」から取っています。
具体的に説明すると、遊女達がお見世の格子越しに、好みのお客さんに自分が吸った煙管を差し出して「お相手してくれない?」と呼び掛けることがあるのですが、モテモテないけめんにはその煙管がわんさか差し出されるのです。そんなことを、上記の「助六」さんが「煙管の雨が降る」と表現します。
ご本家様のPVを観た時に、格子越しに吸い付けたばこを沢山渡されているKAITOさんが頭に浮かんだので、このような表現にしてみました。
遊郭でのやりとりを持ってきたことで、次の「花魁道中」に掛かるようにしていたりもします。
ちなみに、「将校」は「軍隊で、少尉以上の武官」という意味で解釈して頂ければと。

彼方も御許も諸人寄り合へ
三味線 邦楽 人・含・道・善:

「彼方」は、現在の「あなた」よりもずっと敬度の高い人称代名詞だそうです。
この用法は江戸時代以降だとか。
「御許」は、「敬愛の気持ちが込められた人称代名詞」だそうで「みんなおいでよ!」という意味になれば良いなぁと思って上記の言葉にしました。
「三味線」を「さみせん」と読むことにしたのは、藤山さんの発案です。
手妻の口上に「さみせん」とあること、こちらの方が古めかしく聞こえる、との理由からです。
「人・含・道・善」は、皆さんもご存知、いわゆる数え歌の「ひふみよ」です。
これは当て字ではなく、実際にこの文字を用いるようです。
物凄く古い祝詞というかおまじないだそうで、一説によると、反魂もできちゃうとかなんとか…。

禅定の門 潜り抜けて 極楽浄土 厄はらひ:
「禅定」は「仏教において、思いを静め、心を明らかにして真正の理を悟るための修行法」だそうです。
「極楽浄土」は「安楽浄土」と類義語です。
ここも盛り上がるところなので、リズムを重視しています。

曙光の丘 遥けきかな その閃光弾をば打ち上げよ:
「曙光」は、「夜明けに、東の空にさしてくる太陽の光」と「物事の前途に見えはじめた明るいきざし」という意味があるとのことで、希望の類義語として扱っています。
このフレーズに「光」という文字が二回出てきますが、
「闇の世界を打ち破れ!」というメッセージ性を強調するために、敢えて文字が重なるのも、歌詞を目にした時に勢いがあっていいかなと考えました。

その断頭台より舞ひ降りて:
「舞ひ降りて」の元の歌詞は「飛び降りて」ですが、
ここは「勢いでその場を離れる」という意味合いの濃い「飛び降りる」よりも、
「意志的に、その場から離れる」という意味に解釈して欲しいので、
「舞う」という動詞を入れました。バッと落っこちるように離れるのではなく、
ひらっ、シュタッ!と離れる余裕というような。

君が歌ひわれ踊らむ:
「君が歌ひわれ踊らむ」は、意志・希望の助動詞「む」を使っています。
訳すと「私が踊ろう」という感じでしょうか。
原曲のイメージを大切に訳しました。




サビのカタカナ表記の部分は、原曲の歌詞の通りにしてあります。
そこも読み比べて、楽しんで頂けたら嬉しいです。

ではでは最後に、文語調の歌詞を超訳したものを載せてみます。
「千本桜」、そして「和楽・千本櫻」の世界に遊んでみちゃってください!




【『和楽・千本櫻』超訳】

何ものも怖れずに、大胆にハイカラ文化を取り入れたのは、
度量が広く、小さなことをくよくよと悩まない反戦国家、我らが日本。
日の丸印の自転車を器用に乗りこなしてみせて、
魑魅魍魎さえ配下に置く。
出逢う菩薩も如来も、みな微笑まれる。
その霊験、すなわち、大陸間弾道弾の如し。

モダンな環状の道を走って、東西南北の移動さえ苦に思わない。
眉目秀麗、凛々しく、理知的な男女の瞳が、才が、花弁のように開くのだ。
この、無常の世の中で。

千本の桜が彩る夜。けれど、君の声さえ届かなかった。
ここは鋼鉄の織物のような、檻のような宴の席。
断頭台さえそこにある。今は進むな、眼下を臨め。

三千世界は、黄泉の国の闇のよう。嘆きの唄も聞こえなかった。
青藍の空は、遥か彼方だ。その手に持っている光で、この場を撃ち抜け。


吸い付けたばこの雨が降る。夜昼女性にモテるのは、粋で洒脱な将校さん。
外八文字(そとはちもんじ※吉原での花魁道中の歩行法)で行ったり来たり。
華やかで臈長けた(ろうたけた※洗練された美しさと気品がある様子)花魁道中。
みんなみんな、集まって顔を合わせて挨拶を交わしましょう。
三味線の音に乗せて、邦楽の調べに合わせて。
古来から受け継がれた数え歌を歌うように、おまじないを唱えるように。

心を明らかにして真正の理を目指すための門をくぐり抜け、
極楽浄土を目指したなら、厄払いとて容易くできる。
必ず、終幕は大団円。
めでたしめでたし。拍手の合間の、あっと言う間の出来事として。

千本の桜が彩る夜。けれど、君の声さえ届かなかった。
ここは鋼鉄の織物のような、檻のような宴の席。
断頭台さえそこにある。今は進むな、眼下を臨め。

三千世界は、黄泉の国の闇のよう。嘆きの唄も聞こえなかった。
明るい兆しを司る丘は、遥か彼方だ。
周りは闇夜。ならば、鋭い閃光を打ち上げろ。

モダンな環状の道を走って、東西南北の移動さえ苦に思わない。
眉目秀麗、凛々しく、理知的な男女の瞳が、才が、花弁のように開くのだ。
この、無常の世の中で。

千本の桜が彩る夜。けれど、君の声さえ届かなかった。
ここは鋼鉄の織物のような、檻のような宴の席。
断頭台に用はない。今だ、そこから舞うように、走るように前へ進め。

千本の桜が、千代に八千代に彩る夜は、君が歌って、僕が踊ろう。
ここは鋼鉄の織物のような、檻のような宴の席。
さあ、光を放て。撃ちまくれ。闇に光を宿すのは、今、この時だ。




最後までお読み頂き、ありがとうございました!
最後に、原曲の『千本桜』の動画をご紹介して解説を終わります。






【萬月邸|綾部ふゆ】


花楽里漫葉集 feat.初音ミク(DVD付)/V.A.

¥2,500 Amazon.co.jp

Trackbacks

trackbackURL:http://kayoudou.blog38.fc2.com/tb.php/175-b9d500d6
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。